人生嫌になったらハウルの動く城を見れば良いと思う

 

 


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なんて美しく儚い物語なのだろう。
小さい頃に初めて見て、それから何度か見ているはずなのに、こんなに心を打たれて、目が潤んだのは初めてだ。
ハウルとソフィーという、2人の純粋無垢な男女の純愛を軸に描かれた物語だが、そのメッセージは、愛だけではなかった。愛と平和。目の前の人を愛する心、慈しむ心は、あらゆる荒んだ心、慌てふためいて冷静さを失った心をも優しく包み込んで美しくする。
この物語に「醜い命」など1つもなかった。魔女だって、国王だって、それらの手下だって、みんな本当は争いごとが嫌い。最大の敵は、荒地の魔女かと思っていたが、そうではなかった。本当に恐ろしいものは、私たち1人1人の心の中にある。人間の敵は人間だった。罪のない人を殺し、罪のない人々の故郷を潰す。これが人のすることかと思うが、それが人間というものだった。魔法使いは、恐れられていたが、誰よりも命を愛し、平和を愛したのも魔法使いだった。人間は、美しくも醜いもの。魔法使いも同じ。
荒地の魔女だって、ただ愛されたかっただけ。寂しかっただけ。ソフィーのあらゆる物を優しく包み込む性格が、あらゆる命あるものの心を動かして、味方にしていく物語。男も女も、人間かそれ以外か、そんなこと関係なく、ソフィーに愛されて皆がありのままの姿に変わっていった。ソフィーの凄いところは、「心を愛せること」だと思う。そんなソフィーに美しい姿と醜い姿を併せ持つハウルは惹かれた。

また、素晴らしいのが、ソフィーは、老婆の姿から若い姿へと何度か変化し、最後には若い、元々の姿に戻ったが、最後まで、誰1人として、その見た目のことを口にしなかった。
そして、ハウルの動く城の住人は、血の繋がりはないが、「心の繋がった家族」になった。
素晴らしい。将来、愛する人とともに必ず見たい物語だ。

もっと他人を愛さないといけない。

この映画の主題曲は『人生のメリーゴーランド』。

人生は、同じような毎日の繰り返し。だけど、歳を重ねるごとに日常は少しずつ違って見えるようになる。産まれ落ちた日に跨ったメリーゴーランドと、今日のメリーゴーランドは、同じようで違うのかもしれない。

そして、命尽きても、また新たなるメリーゴーランドへと人生の舞台が移るのかもしれない。
映画に関わる全てに感謝。感謝。