インスタグラムの功罪と理想のインスタグラマー像~素人男子学生的視点からの考察~

 はじめに

 インスタグラム(以下Instagram)が普及して、5年は経ったのだろうか。私がInstagramを始めたのは2017年だから、比較的遅い方かもしれない。今ではTwitterと並び、生活にすっかり入り込んだInstagramであるが、TwitterやLINEとは色々と異なるSNSだ。

 まず、Instagramは、画像や動画といったビジュアル面に特化したSNSだ。ある程度文字を書き込めるが、投稿欄は画像、動画のみが並ぶ形式になっている。中にはその特徴を利用して、複数枚の画像の一部を組み合わせて、一つの画像をつくる人も多い。

Instagram発祥?のストーリー機能

 今では、LINEやYouTubeにも同様な機能が追加されたが、ストーリー機能というのはInstagramが先駆けとなったものだろう。最初は、使いこなせなかったが、ストーリー機能も中々面白い。Instagramの通常の投稿をストックだとすると、ストーリーへの投稿はフローと言えるかもしれない。ストーリーの投稿は、24時間すると自動的に消え、アーカイブにしか残らない。他人には基本的に24時間しか見れないのである。中には、ストーリー機能のみ利用している「投稿0系アカウント(私が名付けた)」も存在するというように、ストーリー機能は、Instagramの大きな魅力の一つになっている。ストーリーへの投稿も、ストックすることは可能で、アーカイブで自分で閲覧できるだけでなく、「ハイライト」機能を利用し、選択したものは体系的に整理した上で、投稿と同じように制限なく、ストックとして他人に見せることができる。

ストーリー機能は、男女差はさほどないが、ハイライト機能については、圧倒的に女性ユーザーの方が使いこなしていると感じる。その利用方法の例として、旅行によく行くユーザーであれば、北海道、東京、神奈川、大阪のように地名別に過去のストーリーへの投稿を体系化して、楽しんでいる。また、これは極めて女性的な気がするが、「○○ちゃん」「彼ピ」「好きピ」「ダンス部」のように、友人をはじめとした人物を分類する形でストーリーを体系化するユーザーも多いように感じる。遊んでいてもストーリーに投稿されない、投稿されていてもハイライトに載せられないとなると、結構ショックを感じるケースは多そうだ。きっとハイライトによく載せる○○ちゃんの方が好きなのだろう。または、○○ちゃんは自分より容姿が優れていないので自分が映えるのかもしれない。これは、通常の投稿にも言えることだ。また、ネガティブではない理由として、プライバシーの観点からあまり自分のことを投稿しないでくれているケースもあるだろう。○○ちゃんは、自分に自信があって、顔を載せても嫌がらないけど、○○ちゃんは、自信なくて、写真も嫌いで、プライバシーを重んじるとなれば、前者を優先して投稿するだろう。ただ、顔を隠して投稿するユーザーも多いため、一概には言えない。

Instagramの罪

なんだか、本筋から話が逸れた気がするが、Instagramは面白い分、面倒くさいSNSだ。その最たるものがストーリー機能における、「親しい友達」機能である。比較的最近追加された機能である。これは、自らのストーリーを親しい友達と、それ以外に分けて、投稿を親しい友達にのみ見ることのできるようにすることができるという機能だ。プライバシーの観点からも、便利かつ有効な機能だが、これがトラブルメーカーでもある。

 Aちゃんのストーリー見た?と言われたBちゃんは、Aちゃんの指すストーリーを見ようとするも、見れない。ここで、Bちゃんは、自分が親しい友達ではないことに気付くわけである。中々残酷である。ただ、SNSを通じた「友人?」関係なんてそんなものである。ただ、私にも過去にあったが、新しい友達を親しい友達に追加し忘れていたというケースもあり、これは誤解を招きかねない。自らの親しい友達認定基準と照らし合わせて、合格である人物は、忘れずに親しい友達に追加した方が良い。特に、実際に同じコミュニティや近いコミュニティであれば尚更である。

 書いていても思うが、自分もSNS時代の面倒くさい人間である。しかし、最近の中学生や高校生は大変だ。Instagramとかいう、トラブルメーカーが現れたのだから…

 これも触れておきたいことだが、最近、「いいね」の数が他人に表示されない使用になった。友人によれば、ユーザーの中に、他人にいいねの数を見られたくないというユーザーがいるから、そこに配慮して使用が変わったという。それほど、他者の評価を気にするなら投稿しなければ良いのにと思ったり。個人的には、他者の投稿のいいねの数を見て、そのアカウントの影響力や信頼性を測っていたので、やや不便になったなぁという感覚だ。Twitterでもあるのかもしれないが、フォロワーを売買する事例もあるようで、フォロワーを買う「見栄っ張り」はある意味で寂しい人間である。

Instagramの功

 Instagramの功罪の功の方に光を当ててみよう。Instagramは何かとお洒落なSNSである。Twitterが理系男子だとすると、Instagram文系女子といったイメージがある。この、Instagramの普及により、「インスタ映え」という概念が登場し、社会を変容させたと言っていい。これが、良いか悪いか、「Instagramの功」とまとめておきなから、中々微妙なところだが、人々の消費行動を活性化、円滑化したという点では「功」であると考える。カフェはビジュアル重視で攻めている。Instagramは、費用ゼロで宣伝効果を得ることができる。こんなに素晴らしい広告はないだろう。店によっては、Instagramハッシュタグ付きで投稿を条件に割引をするなどして、Instagramに宣伝効果を求めている。「インスタ映え」によって、見た目にフォーカスした財やサービスが多くなっている(特にカフェをはじめとした飲食店で顕著ではないか)ように感じる。そうすると、飲食物では見た目にこだわるあまり、味が落ちたり、人工の調味料等がより使われるようになるといった健康面の心配もある。あと、やたら撮影スポットが増えた。個人的にあまり好きじゃないのは、壁などに書かれた翼のイラストだ(海に多いのかな)。多くは虹色のもので、真ん中に立つと翼が生えているように「映える」のである。個人的に、それで写真を撮ったら負けだと思って未だに翼を生やしたことはない。ただ、日常、非日常の中にあるこれまでは見逃していた「インスタ映え」を発見することもあるだろう。これは、生活の中に新たな「楽しみ」や「価値」を見出だすと言う意味で良いことだと思う。

 加えて、Instagramに自撮りを投稿するユーザーが増えてきたように思う。これは、ナルシストだなぁと思われるリスクのある一方で、「自分を魅せる」場があり、自分を魅せることが当たり前のことになってきていること自体は、素晴らしいと思う。これは、日本人の自己愛と自己表現力の向上や、自分を磨くことの習慣化に繋がり、いいねやコメントでの評価によっては、より自信になることが考えられる。海外の女性なんぞ、お尻の自撮りまで自信満々に投稿しているようだ。


f:id:s70708710:20200106223630j:image←天神大名にある人気タピオカチェーン「貢茶」

おわりに代えて「インスタグラマーの理想像」

 最近では、インスタグラマーという、素人の中でもフォロワーが多い人で10万人を越えるユーザーも増えてきた。彼ら、彼女らに共通することとは何だろうか。多くの場合、容姿が優れていたり、お洒落であることだろう。そして、当たり前といえば当たり前だが、「自分を魅せる」のがうまい。女性に支持されるユーザーは、コスメティックからアパレルやアクセサリーまで、どこのブランドの何を使っているのか包み隠さずに発信する。そこまでなら、広告収入目当ての場合もあるだろうが、フォロワーやファンからの、美容に関する質問から、様々な相談にまで丁寧にストーリー等を使い答えるインスタグラマーは、より支持されやすいだろう。

 理想的なインスタグラマーは、与えられるだけではなく、与えようとする。自分磨きをしたい世の中のInstagramユーザーにとって、インスタグラマーは、遠すぎず近すぎない憧れの対象なのではないか。

 私も、SNS上に限らず、人に何かを与える人間でありたい。

 

 

      ※最終更新日2019年12月30日。